メンタルヘルスに関する裁判例についての次の記述のうち、最も適切なものを1つだけ選べ。
- 1電通事件の最高裁判決では、長時間労働の末にうつ病を発症して自殺した労働者について、自殺は本人の意思によるものであるとして会社の損害賠償責任が否定された。
- 2電通事件の最高裁判決では、労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲内であっても、その性格を心因的要因として損害額の算定において斟酌すべきであるとされた。
- 3東芝事件の最高裁判決では、労働者が神経科への通院や病名などを使用者に申告していなかったとしても、それを理由に過失相殺をすることはできないとされた。
- 4東芝事件の最高裁判決では、精神的健康に関する情報は本人が積極的に申告すべきものであり、申告がない以上、使用者は労働者の体調悪化に配慮する義務を負わないとされた。
正解と解説を見る
正解:3
東芝事件の最高裁判決(2014年)はまず、精神的健康に関する情報はプライバシーに属し、通常は職場に知られないまま働き続けようとする性質のものだと述べました。そのうえで、使用者は本人からの申告がなくても労働者の健康に関わる労働環境等に十分注意を払うべきだとして、不申告を理由とする過失相殺を否定しています。電通事件の最高裁判決(2000年)は、長時間労働によるうつ病自殺について会社の責任を認め、労働者の性格が通常想定される範囲内であれば心因的要因として斟酌できないと判断しました。「メンタル不調は自己申告されにくい」ことを前提に使用者が配慮すべきだと覚えておきましょう。
根拠:電通事件(最二小判平成12年3月24日)、東芝事件(最二小判平成26年3月24日)